着物にアイロンは使える?正しいお手入れ方法を知って長持ちさせよう

お気に入りの着物を美しく保つためには、シワやヨレをていねいにケアすることが大切です。しかし、洋服のようにアイロンを使ってよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。素材や仕立てによって扱い方が異なるため、正しい知識を知ることが必要です。本記事では、着物にアイロンを使う際の注意点やおすすめのケア方法を紹介します。
着物にアイロンは使っていい?正しいお手入れの基本
着物のシワを見つけると、ついアイロンを使いたくなる方も多いでしょう。しかし、素材や仕立てによってはアイロンがけが逆効果になることもあります。ここでは、着物にアイロンを使う際の注意点や正しいお手入れ方法を紹介します。
基本的にアイロンNG!着物の特徴を知ろう
着物といっても、その素材は正絹、麻、木綿、ポリエステルなどさまざまです。さらに、金箔や刺繍などの繊細な加工が施されているものも多く、素材ごとにデリケートさが異なります。
中には自宅で洗濯やお手入れができる素材もありますが、基本的に着物に熱を加えるのは避けたほうが安心です。とくに正絹は非常に繊細で、安易にアイロンをかけると生地が傷んだり、ツヤが失われたりすることがあります。
スチームアイロンも要注意!
「スチームアイロンなら大丈夫」と考える方もいますが、じつはおすすめできません。スチームを直接当てると、部分的に変色したり、水分が原因でシミが広がったりする恐れがあります。
また、汚れが熱によって繊維に定着し、取れにくくなるケースもあります。大切な着物ほど、自宅でスチームを当てるのは避け、専門のクリーニング店に相談したほうが安心です。
どうしてもアイロンを使うなら?
着物専門のクリーニング店では、プロの技術でアイロンを使うことがありますが、素人が真似するのは危険です。ただし、ポリエステルなどの扱いやすい素材で軽いシワを取りたい場合は、アイロンすることもあるでしょう。
その場合は必ず当て布をしてください。アイロンは中温~高温のドライモードにし、布を押し付けずに軽く滑らせるように動かします。素早く仕上げることがポイントです。生地を守りながら慎重に行うことで、きれいな仕上がりになります。
アイロンなしで着物のシワを取る方法とは?
じつは、アイロンを使わなくてもシワを目立たなくする方法があります。ここでは、自宅でできるかんたんなケア方法と安心の対処法を紹介します。
吊るすだけでもOK!自然にシワをのばすコツ
素材にもよりますが、着物は吊るしておくだけでシワが和らぐことがあります。着用後はすぐにたたまず、風とおしのよい場所で数時間から一晩ほど陰干しするのがおすすめです。
また、和装衣類専用のシワ取りスプレーも市販されており、軽いシワなら効果的です。使う際は、まず目立たない部分で試してから全体に使うようにしましょう。これだけでも、着物の美しい形を自然に整えることができます。
大切な着物ほどプロに依頼するのが安心
自宅でのケアに不安がある場合は、専門の業者に依頼するのが一番安全です。費用はかかりますが、プロなら素材や加工に合わせた最適な方法でていねいに仕上げてくれます。
とくに正絹や高価な着物は、無理に自分で直そうとせず、専門のクリーニングに出すのがおすすめです。着付け教室に通っている方なら、信頼できる業者を紹介してもらえる場合もあります。大切な一枚を長く楽しむためにも、専門家の力を上手に活用しましょう。
着物にシワをつけないコツとは?きれいに保つための収納とケア
お気に入りの着物を長く美しく着るためには、シワを防ぐ工夫が欠かせません。少しの手間をかけるだけで、次に着るときの見た目や着心地が大きく変わります。ここでは、着物にシワをつけないための収納とお手入れのコツを紹介します。
正しいたたみ方でシワを防ぐ収納方法
着物は縫い目に沿ってていねいにたたむことが大切です。こうすることで余計なシワを防ぎ、美しい形を保つことができます。
たたみ終えたら畳紙(たとうし)に包み、タンスや桐箱などにゆとりをもって収納しましょう。収納スペースにぎゅうぎゅうに詰め込むと、上下から圧力がかかり、生地がずれてシワの原因になります。
季節の変わり目には、風とおしのよい日に一度取り出して状態を確認しておくと安心です。
脱いだ後の一手間で次も気持ちよく着られる
着用後はすぐにたたまず、しばらく吊るしておくことがポイントです。疲れていてもこのひと手間を怠ると、意外な場所にシワが残ってしまうことがあります。
和装ハンガーを使えば、着物や長襦袢、帯、帯締めなどをまとめて掛けられるので便利です。吊るしておくことで湿気が抜け、汗による変色防止にもなります。
脱いだ後のケアを大切にすることで、着物をより長く、美しく保つことができます。
まとめ
着物は素材によって扱い方が大きく異なる繊細な衣類です。シワが気になっても、むやみにアイロンをかけてしまうと、生地を傷めたり、光沢を失わせてしまうおそれがあります。まずは吊るす、陰干しする、専用スプレーを使うなど、熱を加えない方法でケアするのが安心です。収納時も、縫い目に沿ってていねいにたたみ、詰め込みすぎないように注意しましょう。さらに、着用後は和装ハンガーで風をとおし、湿気を取り除くことも大切です。これらの小さな心がけが、着物の美しさを長く保つ秘訣です。無理に自分で直そうとせず、必要に応じて専門店に相談することで、大切な一着を安心して次の機会にも楽しめます。













